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   Researcher

  ■ 中村 渉
 
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   Dentistry project / 生命歯科医学若手研究者育成プロジェクト −大学院歯学研究科−
Name    中村 渉 (歯学研究科口腔時間生物学研究室)
Theme    『 概日リズムを制御する階層的神経回路構造の解明 〜 口腔からの中枢アプローチ 〜 』
Index    1. “規則正しい生活”の神経科学機構
 2. 体内時計中枢・視交叉上核が制御する概日行動リズム
   3. 食事性概日リズム ― 口腔機能を介して調節される概日リズム ―
 
  9x9  Research contents



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1.  “規則正しい生活”の神経科学機構

    我々は地球上で24時間の自転周期にともなう環境変化に適応して暮らしています。ヒトは一見すると社会的因子(時計)に縛られて生活しているようですが、生理機能は時計を見ていなくても日内変動を繰り返し、健康な生活を営むように調節されています。休日に目覚まし時計が鳴らなくてもいつもの起床時間に眼が覚める、あるいは仕事中いつも同じ頃合でお腹が空いてふと時計を見ると昼休み、ということは誰しも経験するのではないでしょうか。口腔機能の例をみても、唾液の分泌量には明瞭な日内変動が認められ、齲蝕・歯周病といった歯科疾患のリスクに影響を与えると考えられています。こうしたあらゆる生理機能は一日のうち最適なタイミングで最大限の機能を発揮するように制御されており、その時間(時刻)情報は体の中にある時計、“体内時計”によって支配されていると考えられているのです。私たちは体内時計の神経科学機構を探求します。


 
     
   
 

 

2. 体内時計中枢・視交叉上核が制御する概日行動リズム

fig2    哺乳類において体内時計中枢は前視床下部・「視交叉上核」に存在することが知られています。神経科学研究によく用いられるマウスでは、実験的に24時間周期の明るい“昼”と暗い“夜”の環境条件下におくと、夜間活発に活動し昼間は休息する規則的な行動パターンを示します。環境からの時間情報(明暗周期)をなくした場合(恒常暗or恒常明)、マウスは自身の「体内時計」に従いおよそ24時間に近い周期で活動・休息の“概日”行動リズムを示すのです。この概日周期は毎日数分に満たない誤差という驚くべき正確性をもっています。



fig3




    体内時計中枢視交叉上核を破壊するとこの概日リズムは消失することが証明されていますが、そこで視交叉上核がどのように時間情報を全身に伝達しているのかはよくわかっていません。私たちは自由に日常行動を行うマウスから視交叉上核の神経活動を記録する研究を行っています。体内時計中枢視交叉上核の神経出力とともに脳神経核の機能部位における神経活動リズムを記録することにより、多種多様な生理機能の概日リズム制御神経回路機構を解明することを目的としています。




3. 食事性概日リズム ―口腔機能を介して調節される概日リズム―
 

    夜行性であるマウスは通常(いつでも餌が食べられる状態)、活動期である夜間に餌を摂取します。しかし普段は眠っている昼間の一定時間だけに餌を与える(時間制限給餌)と、食事ができるタイミングに順応し、さらに餌が与えられる時刻がわかっているかのように給餌時刻前に活動が活発になる「予知行動」を示すことが知られています。給餌予知行動は体内時計が制御する行動リズムの好例ですが、興味深いことに時計中枢視交叉上核を破壊したマウスでも予知行動をおこします。つまり予知行動を駆動するいわゆる“ハラ時計”は視交叉上核以外の場所にあることを示しています。私たちは食事という口腔の大切な機能を介した入力で調節される行動の概日リズム制御機構を解明し、さらに視交叉上核とハラ時計の協調神経回路機構を明らかにしていきます。


 
     
   
 

 

 
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