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INDEX |
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■ プログラムの概要
┗はじめに
┗生命科学若手研究者独立支援システムの必要性
┗基本的な考え
┗若手研究者独立支援コンソーシアムの構築
┗帰国研究者に対する積極的支援 |
■ プログラムの計画
┗採用審査方法
┗採用審査基準
┗着任、研究費、研究スペースならびに待遇
┗テニュアポストへの審査基準 |
■ プログラムの体制
┗親講座について
┗生命科学若手研究者独立支援運営委員会について
┗若手研究者独立支援コンソーシアムについて |
■ プログラムの展開
┗プログラムの展開
┗大阪大学における展開
┗学外研究機関も視野にいれた展開 |
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■ プログラムの概要▼ ▲ |
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はじめに
文部科学省 科学技術振興調整費「若手研究者の自立的研究環境整備促進」事業は、科学技術のさらなる発展のために、若手研究者が自立して能力を発揮できる環境整備に取り組む研究機関を支援するため、平成18年度に新設された委託事業です。(期間:原則5年間、事業予算:年額2億5千万円)。
平成20年度には、大阪大学が提案した「生命科学若手研究アプレンティスプログラム」がその一つとして採択されました。医学系研究科、歯学研究科、薬学研究科、理学研究科、生命機能研究科、蛋白質研究所、の生命科学関連6部局が、独創性あふれる若手研究者を特任准教授として採用し、独自の研究を支援しながら、完全に独立した研究者になるためのサポートをおこないます。
生命科学若手研究者独立支援システムの必要性
生命科学研究の進展は著しく、次々と新しい概念や方法論が確立され、研究の領域はますます拡大し、その複雑さは劇的な速度で増してきています。そのために、ある程度のまとまった業績をあげるには、単独ではなく、小さくともグループを組んで研究をおこなうことが必要になってきています。一方で、業績の評価としては、研究チームの歯車としてではなく、研究を主体的におこなった人の「顔が見える研究」を重視する方向へという大きな流れができつつあります。これら二つの大きなの潮流をあわせると、若手研究者が、できるだけ早く、小さくとも独自の研究を推進するグループを構築し、完全に独立した研究者を目指すことが、今後の生命科学研究の発展において非常に重要であると考えています。
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基本的な考え
世界でもトップクラスにある大阪大学の生命科学研究分野における活動を基盤に、6つの関連部局が連携して、次世代を担う生命科学若手研究者が独立した研究を遂行できる環境を提供していきます。そして、同時に、研究者として完全に独立できる能力を身につけられるよう積極的に支援していきます。残念ながら、我が国においては、欧米に比較して、若手研究者の独立をシステマティックに援助するような制度は未整備であるといわざるをえません。本提案では、採用した研究者を、完全な独立を目前にひかえた、きわめてハイレベルな「アプレンティス(見習い)」として位置づけ、独立したテーマでの研究推進を担保しながらも、決して孤立することがないように、完全に独立した研究者をめざして、いろいろなノウハウの指導と支援をおこなっていきます。
(プログラムの体制)
若手研究者独立支援コンソーシアムの構築
若手独立研究者と、若手独立研究者を日常的に指導する各部局の「親講座」の教員、および、より客観的な立場から若手研究者を指導・支援する独立支援運営委員からなるコンソーシアムを構築し、次世代の研究者を育成していきます。このコンソーシアムは、単に採用された若手研究者の支援だけでなく、次の世代をめざす、若くして独立を目指す大学院生らに、将来のキャリアパスを明瞭に示す規範となることをめざしていきます。また、コンソーシアムでは、定期的にシンポジウムを開催するなど、そのプレゼンスを最大限に示すとともに、若手研究者に適度なプレッシャーと刺激を与えていきます。
帰国研究者に対する積極的支援
大学院修了後、多くの日本人若手研究者が、欧米の大学・研究機関において、ポストドクトラルフェロー(ポスドク)として研鑽を積んでいます。また、ポスドクとして多大な研究成果をあげ、欧米において独立した研究室を主宰する日本人若手研究者の数が増加しつつあります。これは、研究者の国際化として喜ばしい反面、我が国における帰国若手研究者を独立ポジションとして受け入れる体制が不備であることを示しています。本提案では、このような、帰国して独立した研究室を立ち上げる強い意志をもった研究者を可能な限り積極的に採用し、帰国後の独立を支援していきます。ただし、採用審査の際には、研究業績および研究プロジェクト内容を最重要視しいたしますので、国外からの応募者だけを採用するということではありません。
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■ プログラムの計画▼ ▲ |
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採用審査方法
生命機能研究科、薬学研究科、理学研究科、歯学研究科、蛋白質研究所、医学系研究科、それぞれの部局のプロジェクトに合致した研究テーマを推進する若手研究者を採用する予定にしています。採用希望者には、希望するいずれかの部局に対して応募をおこなっていただきます。その応募をうけて、各部局において厳正な選考をおこないます。各部局は、採用人数の約2倍程度の候補者を独立支援運営委員会に推薦し、最終的な決定は独立支援運営委員会においておこないます。また、選考過程において、適宜、ヒアリングもおこなう予定にしています。
採用審査基準
十分な論文業績を有していることを最低限の条件としますが、研究テーマの独自性、独立性、将来的な展望、ならびに、各部局のプロジェクトに対する整合性も考慮して採用を決定します。
帰国後すぐに独立して研究室を立ち上げる予定の研究者の優先的な採用も考慮する予定にしていますので、該当する若手研究者はふるってご応募ください。ただし、研究業績および研究プロジェクト内容を最重要視し、国内からの応募者が不利になることがないように配慮して選考をおこないます。
着任、研究費、研究スペースならびに待遇
採用が決定次第、できるだけ早期の着任を希望しています。平成20年度発足のプログラムなので、遅くとも、平成20年度内に着任していただく必要があります。
研究費は、初年度はセットアップに必要な備品の購入を含めて1250万円、二年目以降は、700万円〜1000万円を支給する予定です。消耗品、人件費、備品、旅費など、それぞれの要望に沿って申請をおこないます。研究スペースは、50〜60uを予定しています。給与は、大阪大学任期付教員基本年俸表の8号(年俸700万円程度)を予定しています。
テニュアポストへの審査基準
基本的には、採用後の論文業績により決定します。小さくまとまった論文の発表ではなく、生命科学研究の本質にせまるような研究成果を目標としていきます。インパクトファクター10程度以上の論文2報を一応の目安とします。ただし、研究室の立ち上げを含めて、最終評価までの正味期間が4年程度と比較的短いので、最終年度における評価は、すでに発表された論文のみでなく、実際に進められている研究の内容や進捗状況も勘案し、厳正ではあるけれども弾力的に対応していきます。また、3年目には中間評価をおこない、場合によっては、研究の方向性などについての指導をおこなう予定です。
テニュア・ポストへの移行率は、研究業績にもよりますが、最低でも5割は確保する予定です。アプレンティスプログラムは、研究者の完全な独立と自立を目的とするものですから、テニュアの職としては、正規の教授、あるいは、独立准教授を予定しています。
また、残念ながらテニュアへの移行がかなわなかった若手研究者に対しては、就職猶予期間として、プログラム終了後、1年間の雇用を保障します。 |
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■ プログラムの体制▼ ▲ |
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親講座について
若手研究者は、医学系研究科、歯学研究科、薬学研究科、理学研究科、生命機能研究科、蛋白質研究所、のいずれかの部局に、特任准教授として採用されます。各部局において、若手研究者と関係の深い研究分野の教授が、「親講座」として、運営に関する支援および指導にあたります。親講座の備品を使用しながら研究を開始し、完全独立に向けた研究室のセットアップをおこなってもらいます。
親講座は、特任准教授の研究の独立性および自立性を完全に確保しながら、研究室運営や大学院生の指導、研究費取得などについての助言や指導をおこないます。こういった体制をとることにより、採用された特任准教授に対して、「独立させれど孤立はさせず」という運営をおこなっていきます。
生命科学若手研究者独立支援運営委員会について
参加6部局の教授(親講座教授以外)、参加部局以外の大阪大学生命科学関連部局の教授、大阪大学近隣の研究機関の長、からなる、独立支援運営委員会を設置して、採用された若手研究者の支援にあたります。
親講座が日常的な支援や指導をおこなうのに対して、独立支援運営委員会は、より大所高所からの支援、指導をおこないます。また、万が一、独立若手研究者と親講座の利害が対立するような場合には、その調整をおこないます。
若手研究者独立支援コンソーシアムについて
採用された特任准教授、親講座教授、および、独立支援運営委員会委員、からなる「若手研究者独立支援コンソーシアム」を構築いたします。このコンソーシアムは、定期的に公開シンポジウムを開催するなど、採用された独立准教授が相互に仲間意識を育みながら、切磋琢磨していけるような運営を目指します。また、同時に、若手研究者が、安心して研究できる環境を確保しながらも、適度なプレッシャーを感じるように運営していきます。
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■ プログラムの展開▲ |
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プログラムの展開
魅力的なキャリアパスを提示することにより、学内外の大学院生やポスドクレベルの研究者に大きな夢と希望を与えることができるものと考えています。また、このような弾力的かつ柔軟性の高いモデルシステムを構築することにより、学内での部局間交流や組織改編が促されるだけでなく、近隣の研究組織をも巻き込んだ新たな組織作りに発展させることができると期待しています。
大阪大学における展開
若手研究者の独立支援は、科学立国をめざす我が国において、早急に確立されなければならない制度でありますが、旧来の縦割り講座制の弊害や、資金面不足から、実施に移すことは容易ではありません。しかし、本プログラムは、そのような問題点の克服をめざすだけでなく、弾力的な運営が可能な新たなコンソーシアム制度の構築をめざすものです。
コンソーシアムは、複数部局にまたがっていること、また、実際に研究を遂行する若手研究者たちがコンソーシアムの中核を担っていくこと、から、このコンソーシアムは、大阪大学の生命科学における次世代融合的研究の促進にとって大きな役割を果たすことは間違いありません。また、このコンソーシアムが核となり、既存の部局の連携がさらに密になり、部局間での融合研究や組織再編の起爆剤になることを期待しています。
学外研究機関も視野にいれた展開
本プログラムにおいて構築するコンソーシアムを拡大することにより、大阪大学の生命科学関連部局のみにとどまらず、近隣に位置する、国立循環器病センター研究所、大阪バイオサイエンス研究所、医薬基盤研究所などとも、同様な連携をおこなうことが可能です。さらに、将来的に、採用された若手研究者が、異なった研究機関においてテニュア・ポストを得ることができれば、人事の流動化も促進され、コンソーシアムが飛躍的な発展を遂げる可能性があります。また、こういったコンソーシアム形式での運営システムは、枠組みやテーマを変更することにより自在に構築できますから、大阪大学、あるいは、生命科学分野のみならず、いろいろな研究機関や研究分野における新たなモデルシステムになるものと考えています。 |
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